2020年4月11日(土) 天気 晴れ

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新型コロナウイルスが世界で猛威をふるっています。
日本でも感染が拡大し続け,東京都などでは4月7日に緊急事態宣言が発せられ,不要不急の外出ができなくなりました。
スポーツ界でも,東京オリンピックが延期となり,数々の試合やイベントが中止に追い込まれています。
日本馬術連盟からも競技会を含むイベント自粛が呼び掛けられ,当面のあいだ公認競技会の公認も中止となってしまいました。

今年が始まったばかりの頃は,今年がこんな年になるとは思っていなかった。

わたしが住んでいる地域やクラブのある地域は,感染の拡大している地域からは外れているものの,近隣の自治体ではちらほらと感染者の報告が出始め,戦々恐々としている状態です。(※2020年4月11日現在の状況)



乗馬の練習はどうしよう。
クラブから,イベントや試合が中止になった話は聞いたけれど,レッスンクローズの話は聞いていなかった。予約をしているので,もしレッスンもできなくなるのであれば連絡があるはず。でも連絡はないので,レッスン自体はできるのだろう。(※後日,会員のレッスンも含めてこのクラブは臨時休業となりました)
こうなると,自分がどうすべきかの判断をすることになる。

レッスンに行くべきか,行かないべきか。

万が一(もう万が一なんて状況ではないのかもしれないけれど)自分が感染したら,自分が苦しい上に,周囲の人たちに迷惑をかけることになる。

ただ,乗馬って,いわゆる「三つの密」とは完全に異なる環境ではある。
馬に乗る場所は自然の多い屋外で,インドアの馬場だってかなり風通しの良い場所だ。
濃厚接触しているのは馬だけで,客同士が接近する状況はそんなにない(洗い場が混み合っている場合はちょっと注意が必要かな?)。インストラクターは声を出すけれど,10mくらい離れた場所から指導していることがほとんど。

なので,レッスン中の感染って,そうなさそうな気がする。

心配になるのは受付やクラブハウスやロッカールームなど。
長時間いるわけではないし,ベタベタ触ったりしないので,感染リスクは高くなさそうな気がするのだけれど。

悩んだ末に,行くことにした。
運動不足だし,気分転換したい。それに,もしこの騒ぎで乗馬クラブのお客が減り,馬や
クラブの従業員が生活できなくなったら,わたしも悲しいし困る。
わたしのレッスン料や騎乗料なんてたいした額はでないけれど,馬1頭分のエサ代くらいにはなってくれたらと願うのだ。


マスクをして馬に乗る!
手洗いうがいをしっかりする!
そして家に帰ってシャワーを浴びるまで,絶対に顔を触らない!
服は脱いで洗濯,使った道具は消毒!

……あとはもう,祈るだけかな。



到着したクラブには,車がたくさんあった。
自粛要請の出ている他県ナンバーの車が結構あって,「ああ,わたし,判断を誤ったかもしれない('A`|||)」と悲愴な気持ちになる。

東京のナンバーの車とかあるんだけど,大丈夫かな(´・ω・`;)

いいや,もう,運命だ。ここはもう自分の運にかける。
来てしまったので,今日に関しては腹をくくる。
それでも,まあ,クラブの経営のほうにはそこまで打撃ないかもと,余計なお世話ながらちょっと安心する。
健康の面でも経済の面でも,なんとかこの厳しい状況を乗り越えたい。

クラブハウスもコロナ対策仕様になっていて,注意を促す貼り紙や消毒液が設置されていた。
スタッフもお客もマスクをしている人が増えている。もちろんわたしもマスクをしていった。


気を使いながら洗い場に行き,そこにいた指導員さんに今日のお馬さんを聞くと,なんと,わたしがここに来て初めて乗ったおじいちゃん馬を使うとのこと!

うわあぁ! 約3年ぶり!Σ(・ω・ノ)ノ

このおじいちゃん馬は,1度別の乗馬施設へと行ってしまったのだけれど(だからそれ以来乗る機会がなかった),今回のこのコロナ騒ぎで色々あって戻ってきたらしい。

わああぁ! わたしのことなんて覚えてないよね?
あの頃は1人で馬に乗ることもできなかった。軽速歩にすら苦労して,駈歩は怖くて乗れるようになる気がしなかった。
わたし,あの頃よりは成長したよ!
1人で駈歩継続して,障害だって跳べるようになったよ!
この間は競技会に出場して,完走してこられたよ!.。゚+.(´;ω;`).゚+.゚

馬房から出してきて,大量に抜ける毛にブラシをかけ続け,のろのろと馬装していたら,スタッフが2人くらいやってきて,さささーっと馬装を済ませてくれた。

今日のレッスン内容は聞いていないけれど,スタッフさんたちが交わす会話の内容から,今日は何か特別なことをやるらしいと察する。
いつもの指導員さんが 「小夏さんも連れていく」 というようなことを言っているのが聞こえる。
どこか行くのかな(●´ω`●)わくわくわく♪

広い馬場で騎乗する。
同時に,他のお客さんたちと指導員さんたちも馬装した馬に乗る。

何だろう,何だろう (*゚▽゚*)♪

こういうとき,わたしは ,「どうなるかわからないこと」が本当に好きなんだなと実感する。
急な予定変更が嫌いだという友だちもいるけれど,わたしはアポなしの訪問をされるのも嫌ではないし,むしろ事前にきっちり細かく予定を組まれるほうが苦手だ。旅行も大まかな方向と,どうしても体験したいものだけ決めて,あとは臨機応変に,心の赴くままに動くほうが好き。

だから,わたしは今回の新型コロナウイルスの流行でも,不安や心配と同時に,不謹慎かもしれないけれど,正直に言ってどこかわくわくしてもいる。だって,世界規模でこんなに先が見通せない状況って,そうそうない。

さて,そうこうしているうちに,全員の準備が整ったので,出発!
どうやらどこかに長めの散歩に出るらしい。
馬に乗ったスタッフ2名+徒歩のスタッフ1名,お客はわたしも含めて5名。総勢8名と7頭の隊列ができあがった。
いつもの馬場を離れ,コンクリートの駐車場に集結。
拍車を着けていたけれど,エアバッグを着け忘れたことを思い出す。
散歩なら拍車いらなかった!(;´Д`) エアバッグは欲しかったかも!

硬い舗装道路を歩くとき,馬の足音がパカパカと響くのが大好き(^∀^)♪
でも落馬したら砂の馬場より大怪我をする(´∀`;)
落ちないように,気を引き締めなくちゃ。

出発前に並んでいたら,わたしの騎乗馬が前の馬のお尻を噛んでケンカを売ったりしていたので,馬間距離に気を付ける。
やめて! 人が乗ってるときにケンカしないで!(;TДT)

車道を横断し,別の敷地へ集団で移動する。
ベテランの指導員さんたちが先導と殿(しんがり)を務める。
騎馬民族の大移動(*´∇`*) 笑
現代の日本で馬に乗って一般道を移動する人って滅多に見ないから,
この光景を見た人はびっくりするだろうな。「馬だよ! 馬!Σ(=゚ω゚=;)」 って。わたしなら写真を撮る。

木々の間を抜け,坂道を下ると,両側に田畑と野原が広がり,民家が点在する長閑(のどか)な場所に出た。
舗装された細い道を,一列になって進む。
世の中は感染症関連の暗いニュースであふれているけれど,季節はしっかりと巡り,春になっていた。
空気が暖かくなり,青草が茂り,花が咲き,鳥が鳴いている。
行儀よく常歩で歩いていく馬たち。その馬の背に揺られる人間たち。

やっぱり,自然の中を行くのなら,馬なんだよなぁと,しみじみ思う。
車とか,自転車とかじゃなくて。
機械ってどうしても自然の中で異物感があるのだけれど,馬に乗っていると自然の中に溶け込んでいるような感じがする。どこにも無理がかかっていないような。

ずっと常歩で進んでいるので,風景を見たり,会話をしたりできる。
先頭のスタッフさんは時折振り返ってスマホでみんなの写真を撮っていた。馬の上でそういう動作をすることなんて,ベテランの方にはもう何でもないことなのね(わたしならビクビクして操作してスマホを落としたりする気がする)。
わたしの前の馬が,水路の金網を怖がって上を通ろうとしないので,その部分を迂回して土の上を歩いていった。
「馬ってこんなのが恐いんだ~」と新鮮に思っていたら,わたしの騎乗馬は全く気にせず網の上を通っていった。おじいちゃんだもんね(笑),経験豊富だもんね。

坂を下り切って,今度は山沿いに上り坂。
下るときは身体を後ろに,上る時は身体を前に。
そうすると,馬が楽に動けるんだって。

ところが,上り坂で,何故かやる気を出して,前へ前へと進みたがるおじいちゃん馬。
わたしは前から5番目くらいにいたのに,何頭も追い抜いて前に出てしまった。
どうしちゃったの? レースじゃないんだから追い抜かなくていいのよ?('д` ;)
「ゆっくり行こうよ~(>_<)」と,上り坂なのに身体を後傾させてブレーキをかける。
とうとう先導のスタッフさんに並んで前に出てしまい,「先行っていいですよ」と笑いながら声をかけられる。

馬もこの世界も,
完全に思い通りにすることはできないもの。でも,だからこそ面白いとも言える。

【216鞍目に続く】

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