戦火の馬
(2012 / アメリカ / 上映時間147分)

戦火の馬 [DVD]

『E.T.』や『ジュラシック・パーク』で有名な,かのスティーブン・スピルバーグ監督の作品。
結構有名な映画らしいですが,今になってやっと見ました。

原作は,イギリスのマイケル・モーバーゴ作の児童文学。
イギリスには良い児童文学がたくさんありますね。(*´∀`*)

【原作の本】


戦火の馬

【映画の予告動画】
 

【ストーリー】
物語は,第一次世界大戦直前,英国の田舎で一頭の仔馬が産まれるところから始まります。
しばらくの間母馬と過ごした仔馬は,やがて競りにかけられ,ある農家に引き取られることとなりました。農家の少年アルバートは仔馬に惚れ込み,ジョーイと名付けて,手塩にかけて育てていきます。アルバートとジョーイは,それからはいつも一緒の仲の良い友達でした。
しかし,そんな日々も長くは続きませんでした。イギリスはドイツと戦争状態になり,ジョーイは戦地に送られることになってしまったのです。ジョーイを引き取った兵士は,泣いて引き留めるアルバートに,「戦争が終わったら,ジョーイは必ず君に返す」と誓いますが……。

【感想】
馬の目線から見た「戦争」を描く映画です。
ジョーイに関わる人々は次々に移り変わり,そのすべての人が「戦争」に苦しめられていきます。
馬は何も語りませんが,その分,人間の愚かさや悲しさ,そして優しさが,眼前にまざまざと映し出されます。

あまり詳しい内容を語るとネタバレになってしまうので,印象に残ったシーンと感想を。

冒頭のイギリスの田舎のシーンが美しかったです。湖と流れる雲を背景に,丘の上でジョーイを調教する少年アルバート。切り取って絵画として飾りたくなるような,心洗われる風景でした。

戦争の描写は圧巻。第一次世界大戦の頃は,本当にまだ馬が戦地で使われていたんですね。当時,およそ100万頭もの(一説には全軍で1000万頭とも言われています)馬が戦地で命を落としたのだそうです。
人間の勝手な争いに巻き込まれたお馬さんは,それでも人間に従い,見知らぬ土地で静かに息をひきとっていきました。

後半,激戦地を全力で駈け抜けるジョーイの姿が胸に迫ります。

「人間って,馬鹿だなぁ……」と,何度も何度も思いました。
誰も得をしないのに,何故わざわざ悲しくて辛い戦争を行うのか。

昔,どこかで聞いた,長年裁判官を務めていた方の言葉に,「私は人間の弱さを心から憎んでいるが,同時に愛してもいる」というようなものがあったと記憶しているのですが(うろ覚えで申し訳ない),本当に,愚かさに絶望して,こんなことをせずにはいられない人間の弱さに憎悪を覚えるのですが,同時に,そんな中にあって,何故か見出される「捨てきれない人間らしさ」みたいなものに希望を感じることがあります。

この映画のテーマは「希望」なのだそうです。

最後のシーンに,言葉はありません。
夕日の映し出された画面を見ていて,自然と涙が流れました。

馬も人もたくさん死んでしまうのですが,悲しくも美しい映画です。


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