白い馬の季節
(2006年 / 中国 /上映時間105分)


少し古い映画です。
中国の内モンゴル自治区の遊牧民一家の,ちょっと切ないお話。
「馬」と聞いて,以前のわたしが即座にイメージするものには, 「日本の侍」,「アメリカのカウボーイ」,「ヨーロッパの騎士」と並び,「モンゴルの遊牧民」というものがありました。
ただ,モンゴルの遊牧民がメインで出てくる映画って,ほかのものに比べるとそんなに多くないんですよね。
なので,この映画はとても新鮮な気持ちで見ることができました。
【映画の宣伝動画】……は,発見できなかったので,
代わりに モンゴル音楽の『馬の歌』 をどうぞ。
この動画の中盤で出てくるモンゴル人の子どもたち,鞍なしの馬に乗って草原を疾走していて度肝を抜かれました。(※鞍に乗っている子もいます。)
さすが! 遊牧民の子は違いますね……!
日本の狭い馬場でおろおろしながら馬に乗っているわたしは一体何なんだろうと思ってしまいましたよ。
【ストーリー】
砂漠化が進み,遊牧民が伝統的に続けてきた放牧が難しくなった中国内モンゴル自治区でのお話。
遊牧民の夫ウルゲンと,献身的に夫を支える健気な妻インジドマ,そして彼らの一人息子フフーが主人公。
彼らは伝統的な幕家ゲルに住み,羊の放牧で生計を立て,年老いた白い馬を飼っていました。
ところが,草原の砂漠化が進んでいることから中国政府は放牧を禁止し,遊牧民である彼らは草原で生活していくことが難しくなってしまいます。息子のフフーの学費も払えず,厳しい生活の中で,なんとか道を切り開いていこうとする一家。道端でヨーグルトを売り,街に移り住むことを提案する妻インジドマ。草原での生活を捨てきれず,放牧禁止区域で役人(に雇われて作業をしていた人たち)と喧嘩をし,警察のやっかいになる夫ウルゲン。いよいよどうにもならなくなり,学費のために大切な白い馬を売ってしまい,「なぜ馬を売ったの」と泣く息子フフー。
街に移住する決意をしてからも,売った馬がひどい扱いを受けていることを知り,ウルゲンは耐えられずに暴れて騒ぎを起こします。白い馬は同郷の友人の計らいで一度ウルゲンのもとに戻ってくるのですが,生活のために街に移住することは避けられず,馬はモンゴル族の儀式で祝福を与えられた後,草原に放されました。
【感想】
ひと言。切なかったです。
時代の変化は,誰にとっても仕方のないものだとしても,環境の変化は,一人の人間の手で止められるものではなかったのだとしても,やっぱり,心から愛しているものとの別れは辛い。
柔軟に変化に対応し,新しい時代に馴染もうとする妻に比べ,あくまでも以前の通りの生活を続けようとする夫の姿は滑稽でもあり,「頑固だな」「馬鹿だな」「現実を受け入れなければ」なんて思ったりもするのだけれど,でも,こういう人のこういう気持ちが大切にされる世界だったらいいのになぁと,見ていて胸が痛みました。
たとえ現実的でないにしても,「伝統を守りたい気持ち」は尊重されてほしいものです。
馬と共に草原で生きる遊牧民は,最後まで誇り高き遊牧民でありたかったのでしょう。
年老いた白い馬は,これまでの幸せな時代を共にした大切な存在で,やむを得ず手放す際にも「どうか優しくしてやってくれ」と念を押し,街で馬が屈辱的な扱いを受けていることを知った際には衝撃からウルゲンは騒ぎを起こします。このくだり,馬好きの人間としては同情を禁じえません。ちょっと泣きました。
最後に草原に放された白い馬は,遊牧民としてのモンゴル人の誇りを象徴しているのかもしれません。馬はその後どうなったのでしょうか。
これから街で暮らしていく彼らも,時々は,あの馬の姿を思い出し,誇りを持って頑張って生きていってほしいなぁ,なんて,応援する気持ちになる映画でした。

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(2006年 / 中国 /上映時間105分)
少し古い映画です。
中国の内モンゴル自治区の遊牧民一家の,ちょっと切ないお話。
「馬」と聞いて,以前のわたしが即座にイメージするものには, 「日本の侍」,「アメリカのカウボーイ」,「ヨーロッパの騎士」と並び,「モンゴルの遊牧民」というものがありました。
ただ,モンゴルの遊牧民がメインで出てくる映画って,ほかのものに比べるとそんなに多くないんですよね。
なので,この映画はとても新鮮な気持ちで見ることができました。
【映画の宣伝動画】……は,発見できなかったので,
代わりに モンゴル音楽の『馬の歌』 をどうぞ。
この動画の中盤で出てくるモンゴル人の子どもたち,鞍なしの馬に乗って草原を疾走していて度肝を抜かれました。(※鞍に乗っている子もいます。)
さすが! 遊牧民の子は違いますね……!
日本の狭い馬場でおろおろしながら馬に乗っているわたしは一体何なんだろうと思ってしまいましたよ。
【ストーリー】
砂漠化が進み,遊牧民が伝統的に続けてきた放牧が難しくなった中国内モンゴル自治区でのお話。
遊牧民の夫ウルゲンと,献身的に夫を支える健気な妻インジドマ,そして彼らの一人息子フフーが主人公。
彼らは伝統的な幕家ゲルに住み,羊の放牧で生計を立て,年老いた白い馬を飼っていました。
ところが,草原の砂漠化が進んでいることから中国政府は放牧を禁止し,遊牧民である彼らは草原で生活していくことが難しくなってしまいます。息子のフフーの学費も払えず,厳しい生活の中で,なんとか道を切り開いていこうとする一家。道端でヨーグルトを売り,街に移り住むことを提案する妻インジドマ。草原での生活を捨てきれず,放牧禁止区域で役人(に雇われて作業をしていた人たち)と喧嘩をし,警察のやっかいになる夫ウルゲン。いよいよどうにもならなくなり,学費のために大切な白い馬を売ってしまい,「なぜ馬を売ったの」と泣く息子フフー。
街に移住する決意をしてからも,売った馬がひどい扱いを受けていることを知り,ウルゲンは耐えられずに暴れて騒ぎを起こします。白い馬は同郷の友人の計らいで一度ウルゲンのもとに戻ってくるのですが,生活のために街に移住することは避けられず,馬はモンゴル族の儀式で祝福を与えられた後,草原に放されました。
【感想】
ひと言。切なかったです。
時代の変化は,誰にとっても仕方のないものだとしても,環境の変化は,一人の人間の手で止められるものではなかったのだとしても,やっぱり,心から愛しているものとの別れは辛い。
柔軟に変化に対応し,新しい時代に馴染もうとする妻に比べ,あくまでも以前の通りの生活を続けようとする夫の姿は滑稽でもあり,「頑固だな」「馬鹿だな」「現実を受け入れなければ」なんて思ったりもするのだけれど,でも,こういう人のこういう気持ちが大切にされる世界だったらいいのになぁと,見ていて胸が痛みました。
たとえ現実的でないにしても,「伝統を守りたい気持ち」は尊重されてほしいものです。
馬と共に草原で生きる遊牧民は,最後まで誇り高き遊牧民でありたかったのでしょう。
年老いた白い馬は,これまでの幸せな時代を共にした大切な存在で,やむを得ず手放す際にも「どうか優しくしてやってくれ」と念を押し,街で馬が屈辱的な扱いを受けていることを知った際には衝撃からウルゲンは騒ぎを起こします。このくだり,馬好きの人間としては同情を禁じえません。ちょっと泣きました。
最後に草原に放された白い馬は,遊牧民としてのモンゴル人の誇りを象徴しているのかもしれません。馬はその後どうなったのでしょうか。
これから街で暮らしていく彼らも,時々は,あの馬の姿を思い出し,誇りを持って頑張って生きていってほしいなぁ,なんて,応援する気持ちになる映画でした。

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コメントありがとうございました。
いつも色々と勉強させて頂いてます。
モンゴルは一度は行ってみたい場所です。馬にも乗りたいですが、夜空の星が綺麗だと聞いたことがあるので、観てみたいものです。
年を取ってから乗馬を始めたので、身体が言うことをきかず、なかなか大変です。
しかし、ようやく面白さも分かってきたので、出来るだけ長く続けたいと考えています。
これからも、宜しくお願いします。