ノンフィクション『東海道を馬で行く』

古本屋で何気なく手に取り,100円で購入して読んでみたこの本。
想像以上に面白くて,笑いながら一気に読んでしまいました (=^▽^=)ノ
少し古い本なので現在は絶版になっているのか,新品の取り扱いはありません。
Amazonでは中古の書籍の購入ができます。
タイトル:『東海道を馬で行く』
作者:昌子武司
出版社:文藝春秋 1990/1/15
東海道を馬で行く
※古い本過ぎてAmazonのリンクでも画像が出てきませんでした。
【内容紹介】
問題児教育専門の大学教授が、ひょんなことからヘソクリで馬を買い、悪戦苦闘、ついに手なずけて挑んだ東海道。車にびっくり、人情にホロリとしながら1300キロを39日で踏破した顛末をユーモラスにつづる漫談教授の遊々馬旅道中記。
(Amazonの紹介文から)
【あらすじ】
大学教授の昌子先生は,医者から健康のために運動をするように勧められ,50歳で乗馬を始めます。乗馬クラブに通い,練習を重ねる内に,自分の馬が欲しくなり,ひょんなことからヘソクリで馬を買うことになりました。そして若かりし日に抱いた夢「東海道を馬で行く」を実現するために,馬を車や道路に慣れさせ,年単位での準備をして,ついにその旅路へと出発したのでした。
相棒の馬の名は「鹿毛武者(かげむしゃ)」。一人と一頭は道中様々な人のサポートを受けながら,ついに東海道を踏破します。
【感想】
本当にこんなことした人いるんだ! というのが素直な感想です。それも,江戸や明治の馬が一般的で道路も舗装されていないような時代にではなく,現代の車が行き交う道路を通って!
誰もやらないようなことをやった人の体験記というものは,とても貴重で面白かったです。
「実際にやってみなければわからないこと」というのはあるもので,この本を読みながら,「ああ,馬で旅をしようとすると,こんな問題があって,こんな風に対処していたんだ……」と感心し続けていました。
例えば,
・どうやって馬を車に慣れさせていったのか。
・公道を通行する際,ボロの問題はどうしていたのか。
・泊地(先生は馬の傍で野宿している日が多かった)はどんな所を選んでいたのか。
・夜間,馬はどうしていたのか。
・馬や自分の食糧はどうしていたのか。
・荷物はどうやって馬にくくり付けたのか。
・蹄の手入れや,馬の健康管理はどう行っていたのか。
・馬で道を行くにあたり,どんな問題があったのか。
などなどなど!
失敗談も成功談も盛りだくさん。
「漫談教授」の異名を持つ昌子先生の語り口は軽妙で,全編通してコントを見ているかのような面白さでした。
印象に残ったのは,馬で旅をすると,珍しいのか,人々(特に子どもたち)が自然と寄ってくるということ。そして,買ったばかりの頃は汚くて噛み癖のあるヒドイ馬だった鹿毛武者が,先生の根気強いケアと調教で落ち着きを取り戻し,ついには足が痛くても先生のために走ろうとするほどの健気な馬となったこと。
何でもそうですが,「慣れさせること」や「覚えさせること」って,時間がかかるものなんですね。1日でできるようにしようなんて,そんなのは無理な話。長い目で見ていく根気が必要です。
今の若い人は長い文章を読むことに耐えられない,という話を,以前どこかで聞きました。何でもすぐにネットで得たい情報が得られるから,無駄にダラダラと長い時間を使いたくないのだそうです。
その気持ちはわかるし,重要なポイントだけ知ったり行ったりできれば,目的を達成するまでの時間は大幅に短縮されるから,素晴らしいことだろうとも思います。
でも……でもなぁ。こういう本を読んでしまうと,効率云々よりも,もっと大切なものがあるんじゃないかと考えてしまうのです。少しずつ少しずつ,長い時間をかけなければできないことって,あるんじゃないかって。間延びした,無駄のように思える時間も,実はものすごく大切な時間なんじゃないのかって。
偶然手にした本でしたが,とても面白く,色々なことを考えさせられる本でした。
ご興味がありましたら是非どうぞ。

乗馬・馬術ランキング

にほんブログ村

古本屋で何気なく手に取り,100円で購入して読んでみたこの本。
想像以上に面白くて,笑いながら一気に読んでしまいました (=^▽^=)ノ
少し古い本なので現在は絶版になっているのか,新品の取り扱いはありません。
Amazonでは中古の書籍の購入ができます。
タイトル:『東海道を馬で行く』
作者:昌子武司
出版社:文藝春秋 1990/1/15
東海道を馬で行く
※古い本過ぎてAmazonのリンクでも画像が出てきませんでした。
【内容紹介】
問題児教育専門の大学教授が、ひょんなことからヘソクリで馬を買い、悪戦苦闘、ついに手なずけて挑んだ東海道。車にびっくり、人情にホロリとしながら1300キロを39日で踏破した顛末をユーモラスにつづる漫談教授の遊々馬旅道中記。
(Amazonの紹介文から)
【あらすじ】
大学教授の昌子先生は,医者から健康のために運動をするように勧められ,50歳で乗馬を始めます。乗馬クラブに通い,練習を重ねる内に,自分の馬が欲しくなり,ひょんなことからヘソクリで馬を買うことになりました。そして若かりし日に抱いた夢「東海道を馬で行く」を実現するために,馬を車や道路に慣れさせ,年単位での準備をして,ついにその旅路へと出発したのでした。
相棒の馬の名は「鹿毛武者(かげむしゃ)」。一人と一頭は道中様々な人のサポートを受けながら,ついに東海道を踏破します。
【感想】
本当にこんなことした人いるんだ! というのが素直な感想です。それも,江戸や明治の馬が一般的で道路も舗装されていないような時代にではなく,現代の車が行き交う道路を通って!
誰もやらないようなことをやった人の体験記というものは,とても貴重で面白かったです。
「実際にやってみなければわからないこと」というのはあるもので,この本を読みながら,「ああ,馬で旅をしようとすると,こんな問題があって,こんな風に対処していたんだ……」と感心し続けていました。
例えば,
・どうやって馬を車に慣れさせていったのか。
・公道を通行する際,ボロの問題はどうしていたのか。
・泊地(先生は馬の傍で野宿している日が多かった)はどんな所を選んでいたのか。
・夜間,馬はどうしていたのか。
・馬や自分の食糧はどうしていたのか。
・荷物はどうやって馬にくくり付けたのか。
・蹄の手入れや,馬の健康管理はどう行っていたのか。
・馬で道を行くにあたり,どんな問題があったのか。
などなどなど!
失敗談も成功談も盛りだくさん。
「漫談教授」の異名を持つ昌子先生の語り口は軽妙で,全編通してコントを見ているかのような面白さでした。
印象に残ったのは,馬で旅をすると,珍しいのか,人々(特に子どもたち)が自然と寄ってくるということ。そして,買ったばかりの頃は汚くて噛み癖のあるヒドイ馬だった鹿毛武者が,先生の根気強いケアと調教で落ち着きを取り戻し,ついには足が痛くても先生のために走ろうとするほどの健気な馬となったこと。
何でもそうですが,「慣れさせること」や「覚えさせること」って,時間がかかるものなんですね。1日でできるようにしようなんて,そんなのは無理な話。長い目で見ていく根気が必要です。
今の若い人は長い文章を読むことに耐えられない,という話を,以前どこかで聞きました。何でもすぐにネットで得たい情報が得られるから,無駄にダラダラと長い時間を使いたくないのだそうです。
その気持ちはわかるし,重要なポイントだけ知ったり行ったりできれば,目的を達成するまでの時間は大幅に短縮されるから,素晴らしいことだろうとも思います。
でも……でもなぁ。こういう本を読んでしまうと,効率云々よりも,もっと大切なものがあるんじゃないかと考えてしまうのです。少しずつ少しずつ,長い時間をかけなければできないことって,あるんじゃないかって。間延びした,無駄のように思える時間も,実はものすごく大切な時間なんじゃないのかって。
偶然手にした本でしたが,とても面白く,色々なことを考えさせられる本でした。
ご興味がありましたら是非どうぞ。

乗馬・馬術ランキング

にほんブログ村