馬々とりんごの日々

UMAUMA TO RINGO NO HIBI 初心者の乗馬日記です。 記録のために書いています。 これから乗馬を始められる方の参考になれば幸いです。

技能認定(馬場2級)

177鞍目    低血圧

2019年7月20日(土) 天気 くもり 時々 雨 

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馬場の隅の花と蝶

馬が好きだという話をすると,よく,人から 「馬関係の仕事についたほうがいいんじゃない?」 と言われる。「それも楽しいかもね(*'-'*)♪」 と思いつつ,実際にそうなったら厳しいだろうなとも考える。

まず,何より,わたしは朝がめちゃくちゃ弱い

子どもの頃から,早起きには数えきれないほど挑戦してきたけれど,ついに「早起きできる人」にはならずに大人になってしまった。死ぬ思いで頑張って,1日や2日は何とか起きられても,習慣として定着させることができないのだ。無理に起きてもボーっとして動きが鈍く,その日1日調子が悪い。
血圧も低いために上が100を超えることはめったになく,つい最近病院で測定したら「最高血圧80 最低血圧53」と出て驚いた(さすがにおかしいと思って2回測定したけれど,変わらなかったので,そのままお医者さんに報告した)。

大人になった今ではあきらめて,「早起きできない自分」と共存するために,洗濯も翌日の朝の料理も夜にやってしまうという戦法をとっている。
こんな状態だから,早くから起きて動き回っているお馬さん関係の仕事は難しいなと思うのだ(p_q*)シクシク


今日は悪いことに,朝のレッスンに遅れてしまった。(´;ω;`)
理由は寝坊というよりも,起きてからの動きを加速できなかったことで,頑張って何とか目を覚ましてベッドから這い出たものの,外に出られる状態になるまでに時間がかかってしまった。
もうね,馬を動かす前に自分を動かすことに一苦労なんだよね。
行きたくないわけじゃないのに,何でなんだろう。

もう,朝なんて,朝なんて嫌いだ……!
そんな起きてすぐにきびきび動き回れるわけないじゃない・゚・(ノД`;)・゚・
自分のバカ!(TДT) やっぱり夕方からのレッスンにしたもらったほうがよかったじゃないのよ!

事前に「遅れます」と電話を入れて,レッスン時間を変更してもらったけれど,直前での予定変更で,クラブにはすごく申し訳ないことをしてしまった。


半ばぼんやりした状態で,乗馬クラブに到着。
いつもの黒馬くんが,洗い場に繋がれて,こちらを見ながら待っていた。
物言わぬ存在って,何だか健気に思えてきて,泣きたくなる。
ダメな自分でも受け入れてもらえているようで。

馬装をして,自分も拍車をつけてヘルメットを被って,いざ,馬場へ!
試験前最後の練習日だよ,今日は。

そろそろ緊張したり,不安になったり,高揚したりしていてもいい頃なのだけれど,今回は,正直なところ,この事態をどう捉えていいのかわからずにいる。どこかで乱降下している感情を,あえて直視せずに,自らぼんやりした状態を保つことを選択しているような気がするのだ。

「余裕♪」 なんてことはまったく思わないし,下手をすれば 「また次回挑戦しようね(^_^;)」 なんてことになる可能性だって充分あることは知っている。
それでも,パニックになるような不安や緊張はほとんど感じていない。
浮き立つような昂揚感もないし,だからと言って楽しみにしていないわけでもない。


乗馬って,

緊張し過ぎてもダメ。
ダラけ過ぎてもダメ。

自分を不当に低く評価してもダメ。
高く評価し過ぎてもダメ。

本当に,「バランス感覚が大切なスポーツ」なんだなと思う。

どこにも偏らない中庸の状態というか,ニュートラルな状態というか,自分を「無」にして周りを見ている状態のときが,一番上手くいくような気がする。


さて,そんなわけで,低血圧のせいなのか,意識的に無になろうとしているせいなのか,若干ぼわーっとした状態でのレッスン開始(鐙の長さ調節にやたらと時間がかかってしまい,おそらく苛々したであろうが怒らずにいてくださった指導員さんに感謝)。

常歩。徐々に元気な状態に持っていく。
速歩。さほど苦労なく速歩になってくれる。
でも少し走るとすぐ怠けようとして遅くなるので,注意を払い続けて「怠けさせない」ように頑張る。

自分と馬の準備運動として,軽速歩で馬場を数周。手前を変えて更に数周。
だいぶ身体がほぐれてくる。むしろ暑い。マスクが蒸れて息苦しい。

血圧って,運動すると上がるんだっけ? 下がるんだっけ?
と,このあたりで考える。
とりあえず自分の調子は上がってきたので,きっと健康には良いのだ。

斜め手前変換をしたあとに,常歩に戻し,駈歩発進。
やっぱり最初の1~2回は,すっきり綺麗に狙った箇所から発進させることが難しい。
常歩と駈歩の間に速歩を入れさせないのも,ちょっとコツがいる。
駈歩を継続させて蹄跡を大きく回り,駈歩の動きに人も馬も慣れていく。

今日のレッスンの前半には 「常歩 → 駈歩 → 常歩 → 駈歩」を何度も何度も繰り返した。

それから三湾曲蛇乗り。
面白い練習をした。
いつもの三湾曲のあとに,

2級馬場 ③
そのまま続けて,逆方向から三湾曲。
三湾曲(逆)
これを何回か繰り返す。

ふふふ,楽しい(*´∇`*)♪
別に何てことない運動なのにね(笑)。

馬に乗っていると,ただ新しい動きをするだけで楽しい。
歩き始めたばかりの子どもみたいに。
ただ動くだけで楽しいなんて,大人になってからは,そうそう味わえない贅沢な感覚だ.。゚+.(*´ω`*)゚+.゚

【178鞍目に続く】

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178鞍目 やさしい生き物

2019年7月20日(土) 天気 くもり 時々 雨 

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生き物の 背に乗り風を 切りてゆく 異なる生で あることの謎


2鞍目は,3回ほどA2の経路を回った。
イマイチな点はいつでも見つかる。
精度,最初の頃よりは高くなってるのかな。
「精度を高める」って,結局,どういうことなんだろう。


馬場に入場する前に,速歩で調子がよくなるまで巻き乗りをする。
何となく気が急いて,すぐに馬場に飛び込みたくなるのだけれど,焦らずにここで(数周してOK)調子を上げていくことが大切みたい。

緊張すると,その緊張から逃れたくて,「いいやもうさっさとやって終わらせちゃえ!(゚д゚;)」 って,自暴自棄に似た感覚に陥るのだけれど,そこをぐっと堪えていく。
落ち着いて。投げやりになってはダメ。

入場。
敬礼の際に少し動いてしまい,注意を受ける。


指導員さん 「停止,『不動』,敬礼,だからね!?」


「不動」の時間を,ちゃんともうけること。


・最初の停止からの速歩発進は,できるだけ1回でスッと出すこと。
・隅角はきちんと隅まで行くこと。
・斜め手前変換も,焦って早く曲がり過ぎないこと(ポイントをちょっと過ぎたくらいで曲がってOK)。
・メリハリをつけて運動すること。
・歩度を伸ばしても馬上で跳ねないように,かかとを踏み下げて膝も上がらないように,姿勢に気を付ける。
・三湾曲蛇乗りは,馬場をきれいに三等分すること。途中はしっかり直行進すること。
・常歩になったときに馬の気を抜かせないこと(緊張感を保つ)。
・手綱を伸ばしてもふらふらさせず,前進気勢を保つこと。
・決められた地点から駈歩発進できるように,馬の様子を見極めて準備をすること。
・駈歩発進の際に人間がごちゃごちゃ動き過ぎないこと。
・きれいな円を描くこと。
・馬場中央Xまで駈歩継続できるように脚での合図を送り続けること。
・中央で速歩にしたら,速歩を継続しつつ,一息入れて常歩移行に備えること。
・常歩にしたら,すぐさま次の運動に備えること。
・最後の常歩からの速歩発進は,馬の様子を見極めて,脚扶助の加減を決めること。
・最後の半輪乗りは小さ目に。しっかり馬場の中央線に入ること。
・停止位置までしっかり速歩を継続し,常歩を入れずにピタッと停止すること。


これがいつでも完璧にできていれば,苦労はしない。
曇っていたけれど蒸し暑くて,息を上げながら練習していた。

わたし,ちゃんと上手くなってるのかな?
練習始めた頃よりも,上達してる?


そしてラスト1回の経路練習で,軽く事件が……!

わたしがうっかり鞭を落としてしまったので,そのまま鞭なしで経路練習をすることになったのだけれど,鞭がなくなったことに気付いたのか,それとも疲れてきたのか,黒馬くんはちょっとしたワガママを試みてきたのだ。

三湾曲の前,A地点のあたりで,黒馬くんはボロで止まってしまった。


指導員さん 「そのくらいで止まられてちゃダメだよ!! (`・д・´ ;)」

小夏 「((((゚Д゚≡゚Д゚;))))!!!」


慌てて脚をガツガツ入れても,鞭がないので手でパシッとやっても,黒馬くんは動かない。

いやー!!!(;TДT) 動いてー!!!!(泣)


指導員さんが長鞭を手に,恐い顔をして近づいてきたので,黒馬くんは 「怒られる!Σ(゚д゚;)」 と察して,跳びながら方向転換して走り出した。
急な動きに落馬しかけたものの,声かけしてなだめ,身体を起こして手綱を取り直す。

もー!(;´Д`)怒られるってわかってるなら動いてよー(≧ヘ≦;) !


指導員さん 「本番でそれやっちゃうとマズイですよ?(´・ω・`;)」


ええ,それはよくわかるのですが……こんなの,どうすれば……!(; -д-)ノ

頼む,黒馬くん,試合中にボロはなしだ。もしするんなら,走ったままして。
ボロでいちいち止まってたら,肉食獣に捕まって食べられちゃうからね!
人間だって一応肉食するからね! 食べちゃうからね! (ノ`Д´)ノ ガオー!

その後蹄跡に戻り,ダメだったところから再スタート。
速歩で斜め手前変換して,三湾曲蛇乗り。常歩パートを経て駈歩発進,20mの輪乗り。
駈歩継続,歩度伸ばし……

黒馬くんは怒られかけたばかりなので,まだ指導員さんのことを警戒していた。
駈歩で蹄跡を走るとき……
避ける馬
ちょっと距離取ろうとしてるの(笑)。
すぐにわたしに蹄跡に戻されるんだけど。いつもはこんなことないのになぁ。
考えていることがわかりやす過ぎて,厳しくなりきれずに笑ってしまった(´∀`*)
甘いのはよくわかっている。

でも,生き物って,やっぱりいいなぁ(笑)。

自分とは違う意思を持った生き物だから,思い通りにならないこともある。
だけど,そこが面白いとも言える。

以前,本で読んだ「ゲシュタルトの祈り」という詩を思い出した。


【ゲシュタルトの祈り】

私は私のことをします
あなたはあなたのことをしてください

私が生きているのは
あなたの期待に応えるためではありません

あなたもまた、私の期待に応えるために
生きているのではありません

あなたはあなた、私は私

もし、私たちの心が通じ合わなくても
それは仕方のないことです

そして、私たちの心が
たまたま触れ合うことがあれば
それは最高に素晴らしいことです



異なる生き物であるから,通じ合えないことが前提にあるから,通じ合えて上手くいったときが嬉しいのだ。


レッスンを終え,指導員さんは,「合格の範囲内の運動はできていると思うけれど,得点を高めるために細かいポイントに気を付けていきましょう」 と言っていた。

うん。気を抜かずに頑張る.。゚+.(`・ω・´)゚+.゚

指導員さんは忙しかったので,一人で馬を水で丸洗いして(毎回自分もずぶ濡れになるのだが,洗い方が下手なのだろうか),水切りして,タオルで拭いて,馬房に戻す。
おやつにりんごをあげたら喜んで食べていた。

色々と言葉にできない思いがたくさんあったので,馬房の中で,しばらくそのまま首にしがみついて,じっとしていた。
黒馬くんはその間,動き回ることもせず,大人しくしていてくれた。
馬ってやさしい生き物だなぁと思った。

ゲシュタルトの祈りの最後の部分を読むと,少し泣きそうになる。


そして、私たちの心が
たまたま触れ合うことがあれば
それは最高に素晴らしいことです



本当に,素晴らしいことだ。


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夏空とブルーリボン(馬場2級試験)

2019年7月27日(土) 天気 雨 のち 晴れ

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全乗振の乗馬技能認定審査(馬場2級)の試験日。
ジャンプができなくなったわたしは,2ヶ月ほど前から,この日を目指して練習を重ねていた。

この日,わたしは,

出発予定時刻の15分前に覚醒した。

大急ぎで着替えて準備をし,朝ご飯を食べて(←省略しなかった),ちょっとここには書けない速度で車を飛ばして(事故を起こさなくてよかった)クラブに到着。

ま,間に合ってよかった……!(; -д-)ノ

この過程により,たぶん低い血圧が爆上げされ(身体に悪いので推奨はしない),戦闘態勢に入る。こういうときに分泌されるアドレナリンって,脳を覚醒させて集中力を高めたり,運動能力を高めたりするらしいよ。

ああ……でも,やっぱり余裕がないのはよくないな。次回から気をつけます。ごめんなさい。


接近しつつある台風の影響なのか,クラブ周辺では雨が降っていた。
馬術の試合は雨の中でも普通に行われる。
仕方ない。天候は操作できない。
演技が終わったらすぐに着替えれば,風邪もひかなくて済むだろう。

2日後には入院。
3日後には手術。

ここで体調を崩したら,自分が怒られるだけではなく,予定変更により大勢の人に迷惑をかけることになる。それだけは避けたい。


馬房に行くと,黒馬くんはもうすでに綺麗に馬装されていた。
よろしくねー(T∀T) きみにかかってるよー!

お馬さんはいつも通りに落ち着いていた。
馬って緊張しないのかな。わたし自身もそんなに緊張はしていないと思うけれど。
上手くいくといいね,と首を撫でる。

ちなみに,ここしばらくメルカリや人脈を駆使して格安で集めた正装をしていったのだけれど(蒸し暑いのでジャケットは省略),わたしの正装が珍しかったのか,スタッフが数人馬房前に集まってきた。
ベルトがないことを残念がっていて,貸し出しの申し出があったのだけれど,


「おれのベルト貸しましょうか!?(☆°∀°)」
「わたしのベルト貸すよ!( ・∇・)
「おれのベルトを……!(☆°∀°)
     

ありがとうございます(*´ω`*)笑。
でも集団でベルト外し始めるのやめて(笑)。

彼らは愉快で,実に良い人たちだ。

ウエストがゆるいわけでも,シャツが短いわけでもなかったので,ベルトはなしで競技に挑むことにした。


小雨が降り続く中,準備のため馬場の隅に出る。指導員さんがついてくれて,最後の調整に入る。
常歩,軽速歩,速歩,駈歩,巻き乗り,20mの輪乗り,三湾曲,歩様の変換……
この期に及んで,変なミスをしたりして,苦笑いが漏れる。メンタルを壊さないようにするためなのか,指導員さんは怒らずにいてくれた。
 
わたしの出番は後のほうだったので,まだ余裕があるかと思っていたら,前の出場者の準備が整わないとかで,急遽わたしが先に審査をしてもらうことになった。
えええぇぇ!((((;゜Д゜)))
もう出番!?

ドレッサージュ馬場へ行き,入場する前に何度か速歩での巻き乗りを繰り返す。指導員さんからOKが出たので,馬場へ入場。正面の審判員席に,見慣れた人の顔があった。

ん? ……あれ?(つд⊂)ゴシゴシ
見間違いでなければ,あの審判員の席にいるのは,オーナー……?

正面の審判員の席でにこやかな笑顔を浮かべているのは,紛れもなくオーナーでした(笑)。
馬場の試合の審判やってるの,初めて見ましたよ……(´∀`;)
初めてなので,厳しく採点されるのか甘く採点されるのか,見当がつかない。

ここまできたら,もうごちゃごちゃ考えている暇はない。
停止。不動。敬礼。
オーナーが笑顔で頷いたのを確認して,速歩発進。
隅角を通り,斜め手前変換しながら歩度を伸ばす。蹄跡から歩幅を戻し,ここから三湾曲……

というところでまさかのボロ!

うそぉ!? 先週の練習と同じ箇所でボロするの!? Σ(´□`;) なにここ,きみのボロポイント!!?

先週停まられてしまった記憶が蘇り,焦って強めに脚を入れる。どうにか停止はしなかったものの常歩に落ち,速歩を発進し直す。

ひいぃぃ……確実に減点だよ今の!

気を取り直して三湾曲。
その後の常歩パートで,虫が気になるのか頭を振りまくる黒馬くん(進んではいる)。
こ,こんな,こんなんでいいのか!? 美しくないぞ!?

C地点からの駈歩発進。この前の常歩の時点でよく動いていて,反応がよさそうな気配があったので,C地点ギリギリで扶助を出し発進させる。20m輪乗り。そのまま直線で歩度を伸ばす。馬場に斜めに入って中央から速歩,蹄跡から常歩。手前を変えてもう一度。

最後のC地点からの速歩発進。
最後の半輪乗りの半円が綺麗に描けなかったけれど,停止ポイントまで何とか速歩継続。
停止。不動。敬礼。


演技を終えると拍手がきた。
たった一人,見守ってくれていた指導員さんが拍手してくれていた。
なんだか泣ける(´;ω;`)
全部あなたが教えてくださったことです(ノ_<。)


競技を終えての感想は,


もうちょっときっちりやりたかった!(>_<;)


もっと,もう少し……ちゃんとできたはず!
達成感よりも,やや悔しい思いが胸に残った。


馬場を出ると指導員さんがいて,「よくできてたね(^_^)」 と言ってくださった。
出来なかった点ばかり目についていたわたしは,失礼にも 「本当ですか?」 と聞き返してしまった。


指導員さん 「うん,ちゃんと動いていたよ。本番に強いのかな」


ああ……ダメだ,わたし。「素直に喜ぶ力」を失いつつある(泣)。
ここ,「わーい♪」って喜ぶところ!(´;ω;`)


黒馬くんを馬房に戻し,汗だくだったので着替えて筆記試験に臨む(過去問を中心に勉強していたので,試験内容が若干変更されていて焦る)。

その場で採点され,実技のジャッジシートをもらいながら,合格ラインに届いていることを知る。
わたしがあんまり喜んでいない顔をしているので,受付の人に「決して悪くない点だと思いますよ」と気を使われる。ごめんなさい,ただわたしの中の職人魂が騒いで(※小夏の先祖は代々職人をやっておりました),完成度に満足していないだけなんです。


ジャッジシートで特に「良い」と評価されていたのは,最初の隅角と,速歩の斜め手前変換での歩幅を伸ばすところと,駈歩発進と20mの輪乗り及び直線での歩幅を伸ばす箇所(左右どちらも)。
平均よりも下げられていたのは,ボロで止まりかけた部分。常歩になってしまった所があったために,得意だった三湾曲蛇乗りの評価が低かった(←今日一番のがっかりポイント)。


うん,でも,まあ,よかった! 全体的に出来てたんだよ! そんな気がする!
ジャッジシートにも「大体よくできてます」って書いてあった!(´∀`;)


筆記の試験を受けている間に雨はやみ,雲が切れて晴れ間が見えるようになっていた。
鮮やかな青色が広がり,気温が上がり,まぶしいくらいの夏空が姿を現す。
今年の長い長い梅雨が,ようやく明けるのだ。

じりじりと照りつける太陽光を避けながら,外の馬場で行われている障害馬術の試合を見ていた。
ローカルな試合は,「何でもあり」な感じがとても楽しい。鐙上げで障害を跳んだり(60㎝くらいなら行けるらしい),本当に,試合って「ゲーム」なんだな,楽しむためにやるものなんだなと思った。

馬場の採点の集計には時間がかかるのか,少し時間が経ってから順位の放送があった。
優勝は逃したかもしれないけれど,参加者も多くなかったし,あとはどこまで順位を上げられるかだなー……なんて思っていたら,わたしと黒馬くんは1位になっていた。
動揺して,次にやるべき行動が一瞬わからなくなったので,とりあえず馬房に行って黒馬くんに報告することにした。ほ,褒めてあげなきゃ! あと,「ありがと」って!
馬房に行き,


馬 「ぼく,頑張ったよ!(●´ω`●)」

小夏 「よくやったねぇぇぇ!!! (*´∇`*)」


みたいなことを期待していたのだけれど,お馬さんはちょうど昼ごはんを食べている最中で,対応はクールなものだった。もぐもぐしながらも,一応顔は上げてこちらを見てくれるのだけれど,


馬 「別に……おれ,やることやっただけなんで」


みたいな感じで,わたしがベタベタ触りながら褒めるような雰囲気ではなかった。

お馬さんの世界には,「合格」も「優勝」もないのね(^_^;)
「練習」と「本番」の違いもないのかも。
ただ,怒られずにお仕事を終わらせて,ごはんを食べて,綺麗な馬房で眠れれば,それで満足なのかな。ある意味では羨ましいとも言える。


晴れ渡る夏空の下で,表彰台に上る。
明るく澄んだ,夏空を切り取ったような色のリボンを受け取った。


ああ……ようやく,ようやくここまで来られた。2級の試験に受かる日が来るとは思わなかった。
まだまだ力不足だけれど,ちゃんと合格したから,周りの人に「馬に乗れます」って言ってもいいかな。


一区切りついたから,これで心置きなく治療に専念できる。


帰り際にフロントで,受付の人に 「回復したら,またいつでも来てくださいね。お待ちしてますので」 と声をかけられる。

初めてここへやって来た日のことを思い出した。
あのときは,まだ,「乗馬」と「自分の日常生活」には大きな隔たりがあって,少し緊張していた。


「はい! ぜひ,また」 と笑って答えて,その場を去る。


少しずつ緊張を解いて,「乗馬」と「自分」の距離を縮めていく中で,随分たくさんの思い出ができたと思った。




*・゜゚・*:.。..。.:*・゜*・゜゚・*:.。..。.:*・゜


あ と が き


『馬々とりんごの日々』 は,ここで,第一幕が閉幕かな,という気がします。
これが物語で,わたしが作者なら,ひとまずここで筆を置くと思うからです。
初めて馬に触れて乗った日から,馬場2級の試験に合格するまで。
ここまでがきっと「第一幕」。

第二幕の開始がいつになるかはわかりませんが(できるだけ早く戻りたいとは思いますが),節目として,これまで関わってくださった方々に感謝していきたいと思います。


乗馬を始めるきっかけを与えてくださった知り合いの女性の方,ここまで教え導いてくださったインストラクターの方々,いつも感じよく接してくださるクラブの人たち,ブログやツイッターで応援してくださる大勢の方々,競技用のウェアやグローブやタイなどをお譲りくださった方,温かく見守ってくれている家族,審査をしてくださる先生方,乗せてくれるお馬さんたちと,そのお馬さんたちを世話してくださっている方々に,万感の思いを込めて。ありがとうございました。


   2019年7月 小夏

カット


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